太極拳は外見だけでなく内面も動かす、全身運動です。太極拳は「意識体操」とも表現します。意識にともない「動作」「呼吸」が連動するからです。
太極拳の深くゆったりした呼吸は腹腔内の血液循環を活発にし、胃腸の動きを促します。呼吸器系統、消化器系統にいい影響があるそうです。動作は、腰を軸とした円の動きで、絶えず重心が移動するので、骨格、筋肉、関節を鍛錬し、バランス感覚も養えます。
全身の働きが向上するため、体内の代謝も向上し、老化を防止できるといわれます。
勢いにまかせた往復運動は太極拳の動作の中にはありません。年配者にとっては魅力です。
太極拳の動きのゆっくりなのは、わざと遅くしてるのではありません。きちんと動こうとするとあの速度になってしまいます。動きに精度を求めれば雑な動きはできません。勢いに任せると動作が破綻しやすくなります。懸命に早く動いても、ようやくあの速度です。数回教室に通ってみると気がつくと思います。太極拳は忙しい、とくに頭の中が忙しいと。ゆっくり動いているけどじつはとてもスピーディーです。
初めは「入門太極拳」という6つの動作をつないだ一連の動作で太極拳を学びます。一番初めは太極拳的な姿勢づくりから始めます。太極拳で求められる虚領頂勁(きょりょうちょうけい)に基づく姿勢です。小学校で体育の時間にした「起立!」のよい姿勢とは違い、少しの緩みを含んだ姿勢です。なぜそういう立ち方が太極拳で求められるのか、ご説明していくつもりです。